(2024年6月最新)CAD/CAMインレーの保険適用条件まとめ

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2022年4月から保険適用開始

CAD/CAMインレーの保険収載は、2022年4月の診療報酬改定で正式に開始されました。この保険収載により、従来のクラウン(CAD/CAM冠)だけでなく、CAD/CAMインレー(複雑窩洞のみ)も保険適用の対象となりました。

CAD/CAMインレーの保険適用条件

小臼歯および大臼歯の隣接面を含む複雑窩洞に限られる。

以下のいずれかに該当する場合に保険算定される。

① 小臼歯に使用する場合

② 上下顎両側の第二大臼歯が全て残存し、左右の咬合支持がある患者に対し、過度な咬合圧が加わらない場合において第一大臼歯に使用する場合

③ 歯科用金属を原因とする金属アレルギーを有する患者において、大臼歯に使用する場合

CAD/CAMインレーもCAD/CAM冠用材料(Ⅰ)(Ⅱ)(Ⅲ)を使用することとなっており、CAD/CAM冠と同じ材料料(※2022年時点の材料料から変更あり)が適用されます。また、技術料は750点とCAD/CAM冠よりも450点低くなったものの、レジンインレーやメタルインレーよりは高く設定されています。

この改定では、口腔内スキャナーを用いた直接法での印象採得は保険適用となりませんでしたが、今まで銀歯しか選択肢の無かった詰め物において、審美的な「白い詰め物」を保険内で受けられるようになりました。

CAD/CAMインレーの印象・咬合採得

CAD/CAMインレーとは、CAD/CAM冠用材料との互換性が制限されない歯科用CAD/CAM装置を用いて、作業模型で間接法により製作された歯冠修復物をいい、隣接歯との接触面を含む窩洞(複雑なもの)に限り、認められる。

2024年度の診療報酬改訂で変わった点

2024年6月からは、CAD/CAM冠用材料(Ⅲ)の適用範囲が拡大しました。

CAD/CAM冠の適用範囲だけが拡大したと思っている方がいるみたいですが、CAD/CAMインレーにおいてもCAD/CAM冠用材料(Ⅲ)を使用しますので、同じく範囲拡大となります。

CAD/CAMインレーの保険適用条件(改定後)

小臼歯および大臼歯の隣接面を含む複雑窩洞に限られる。

以下のいずれかに該当する場合に保険算定される。

① 小臼歯に使用する場合

② CAD/CAMインレーを装着する部位の反対側に大臼歯による咬合支持(固定性ブリッジによるものを含む。)があり、次のどちらかを満たす場合

 - CAD/CAM冠を装着する部位と同側に大臼歯による咬合支持がある場合

 - CAD/CAM冠を装着する部位の近心側隣在歯までの咬合支持があり、対合歯が欠損又は部分床義歯の場合

③ 歯科用金属を原因とする金属アレルギーを有する患者において、大臼歯に使用する場合

更に、CAD/CAM加算として「CAD/CAMインレー窩洞形成加算 +150点」が新設されました。

CAD/CAM冠においては、歯冠形成におけるCAD/CAM加算として470点がプラスされていましたが、CAD/CAMインレーにおいては加算項目が設けられていませんでしたので、歯科医院にとっては良い改訂となるのではないでしょうか。

そして遂に、口腔内スキャナー(IOS)を用いて印象採得及び咬合採得をおこなった場合に100点が算定できるようになりました。つまり、直接法での歯冠修復も保険適用されるということになります。

今までは、寒天-アルジネート印象材またはシリコンゴム印象材を用いて印象採得し、そこへ石膏を流し込んで作成する石膏模型を用いて技工を行う間接法のみ保険適用でしたが、ようやく今回から模型の要らない「模型レス」での製作が可能となります。

CAD/CAMインレーの印象・咬合採得(改定後)

(1)CAD/CAMインレーとは、CAD/CAM冠用材料との互換性が制限されない歯科用CAD/CAM装置を用いて、作業模型で間接法により製作された歯冠修復物をいい、隣接歯との接触面を含む窩洞(複雑なもの)に限り、認められる。

(2) (1)にかかわらず、光学印象により印象採得を行った場合は、直接法により取得したデータを用いて、歯科用CAD/CAM装置によりCAD/CAMインレーを製作しても差し支えない。

また、CAD/CAM インレーを製作する際の光学印象を行うにあたり、⻭科医師が⻭科技⼯⼠とともに対⾯で口腔内の確認などを行い、当該の⻭科修復物の製作に活用した場合は、50点が光学印象⻭科技⼯⼠連携加算として加算されることとなっていますが、院内ラボ以外の技工所においてはおそらく大多数が光学印象100点のみの加算となると思われます。

その場合、印象採得+咬合採得(82点)が光学印象(100点)に置き換わることとなります。

「実質18点しか増えてないじゃないか」と思われがちですが、光学印象による模型レス製作となればチェアタイムが大幅に削減されることとなり、目に見えない部分での加算がかなりあるのではないでしょうか。

今後のCAD/CAM冠への適用にも期待です。

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