〈速報〉CAD/CAM冠の光学印象が解禁!? 令和8年度診療報酬改定で加速する脱メタル(大臼歯の適用範囲拡大・点数見直し)

令和8年度の診療報酬改定では、歯科治療のデジタル化(DX)とメタルフリー化の推進が大きな柱となっています。特に「CAD/CAM冠」および「CAD/CAMインレー」については、適用範囲の拡大、点数の引き上げ、そして光学印象(口腔内スキャナー)の適用拡大など、包括的な見直しが行われました。

これは、物価高騰や貴金属価格の上昇への対応、および患者のQOL向上を目的とした「白い歯」へのニーズに応えるものであり、保険診療における補綴治療の第一選択肢が金属からCAD/CAMへと大きくシフトする転換点となります

それでは、改定後の変更点を見ていきましょう。

本記事の内容は、令和8年2月13日に中医協(中央社会保険医療協議会)から厚生労働大臣に提出された診療報酬改定の「答申」をもとに作成しています。答申はあくまでも改定案の提言であり、正式な内容は令和8年3月上旬に発出予定の「告示・通知」をもって確定します。内容が変更される可能性がありますので、最終的には正式発表をご確認ください。

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大森技工所メディア事業部 監修

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目次

CAD/CAM冠の光学印象が保険収載へ

これまではCAD/CAMインレーに限られていた「光学印象」が、2026年4月からCAD/CAM冠にも適用拡大されるようです。また、1歯あたりの点数も引き上げられることから、口腔内スキャナー(IOS)の活用が加速すること間違いないでしょう。

光学印象 算定要件(改定案)

光学印象(1歯につき) 100点→150点

注1 別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た保険医療機関において、区分番号M015-2に掲げるCAD/CAM冠又は区分番号M015-3に掲げるCAD/CAMインレーを製作する場合であって、デジタル印象採得装置を用いて、印象採得及び咬こう合採得を行った場合に算定する。

2024年6月の診療報酬改定により「光学印象により取得したデータを用いて、CAD/CAMインレーを製作しても差し支えない。」とされていましたが、CAD/CAM冠は適用範囲外だったことから、医院でのCAD/CAM冠メニューの導入や口腔内スキャナーの導入を足踏みされる先生方も少なくありませんでした。

今回の改定により、CAD/CAMインレーはスキャンデータで依頼できるものの、CAD/CAM冠はまだ石膏模型を技工所に送る必要がある、という中途半端な運用から脱却し、CAD/CAM冠・インレーともにスキャンデータを送るだけでよくなります。

印象材や石膏模型が不要な「模型レス」のデジタルワークフローが、CAD/CAM補綴全体の標準的な流れとして普及することが期待されますね。

石膏模型の製作が不要になると出てくるのは、やはり適合不良の問題でしょう。スキャンデータでの依頼=模型レスでの依頼となりますので、今まで以上に歯科医院と歯科技工士間の連携やコミュニケーションの必要性が高まります。当社では、医院様ごとに担当者がつき、ご希望の仕上げ具合を丁寧にヒアリングさせていただいております。さらに、自費歴40年以上の職人がCAD/CAM冠・インレーの調整/仕上げを行っておりますので、模型レスでも安心してご依頼いただけます。

大臼歯CAD/CAM冠の適用制限が全て撤廃に

2024年6月にCAD/CAM冠用材料(Ⅲ)の適用範囲が拡大し、より多くの症例で大臼歯への使用が認められるようにはなりました。しかし、咬合支持の条件が細かく設定されており、やや複雑な印象をお持ちの先生も多いのが実態でした。

そんな中、今回の改定では細々と規定されていた算定要件が非常にシンプルとなり、実質全ての大臼歯に適用できるようになりました。CAD/CAMインレーにおいても、同じく大臼歯への適用が無条件となっています。

CAD/CAM冠 算定要件(改定案)

CAD/CAM冠(1歯につき)

1 2以外の場合 1,200点

2 エンドクラウンの場合 1,450点

[算定要件]

(1) (略)

(2) CAD/CAM冠は以下のいずれかに該当する場合に算定する。

イ 前歯又は小臼歯に使用する場合

ロ 大臼歯にCAD/CAM冠用材料(Ⅲ)又はCAD/CAM冠用材料(Ⅴ)を使用する場合

ハ 後継永久歯が先天的に欠如している乳歯に使用する場合

(3)~(6) (略)

(7) 特定保険医療材料料は別に算定する。なお、(2)のハについて、CAD/CAM冠用材料は永久歯に準じて算定し、(5)及び(6)については、CAD/CAM冠用材料(Ⅲ)1歯分として算定する。

今回の改定の要因にもなっている “CAD/CAM冠の大臼歯の適応に関する文献” によると、CAD/CAM冠を大臼歯に装着した場合の部位の違いによる保存期間等の有意差は認められなかった、とのことです。

その結果を受けて、咬合圧が強くなる大臼歯であっても、特に細かく条件分けする必要はないという判断になっているようですね。CAD/CAMインレーにおいても同様に、制限なく大臼歯に適用できるようになっています。

CAD/CAMインレー 算定要件(改定案)

CAD/CAMインレー(1歯につき) 750点→770点

[算定要件]

(1)~(2) (略)

(3) CAD/CAMインレーは以下のいずれかに該当する場合に算定する。

イ 小臼歯に使用する場合

ロ 大臼歯に使用する場合

ハ 後継永久歯が先天性に欠如している乳歯に使用する場合

(4) (略)

(5) 特定保険医療材料料は別に算定する。なお、(3)のハについて、CAD/CAM冠用材料は永久歯に準じて算定する。

今回から新たに、後継永久歯が先天的に欠如している乳歯に対しても、CAD/CAM冠・インレーの保険適用が認められるようになるとのこと。永久歯が生えてこない乳歯は長期間にわたって使用し続けるケースがあるため、審美性・耐久性に優れたCAD/CAMが保険で使えるようになることは、小児歯科においても大きな前進でしょう。

まとめ

令和8年度の診療報酬改定は、保険診療における補綴治療のあり方を大きく変える内容となっています。

特に注目すべきポイントは2つ。

大臼歯の咬合支持要件の大幅緩和

これまで銀歯しか選べなかった症例にもCAD/CAMが使えるようになり、「脱メタル」が加速します。

光学印象のCAD/CAM冠への拡大

口腔内スキャナーの活用価値が一段と高まり、完全デジタルワークフローへの移行が現実的になります。

なお、本記事は答申段階の情報に基づいています。正式な内容は令和8年3月上旬に発出予定の告示・通知で確定しますので、引き続き最新情報をご確認ください。

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