(2026年6月施行)CAD/CAM冠の光学印象が保険適用に|算定要件

令和8年度の診療報酬改定が、2026年6月1日から適用されています。歯科補綴の領域では、CAD/CAM冠の光学印象が新たに保険適用となり、あわせて大臼歯の咬合支持要件が撤廃されました。口腔内スキャナー(IOS)を使った模型レスのワークフローが、CAD/CAM補綴の標準として組み立てられる状態になっています。

本記事は、2026年2月に答申段階の速報としてお伝えした内容を、告示・通知で確定した情報に全面的に差し替えたものです。答申から変更のなかった点、後から明らかになった点をあわせて整理していきます。

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目次

CAD/CAM冠の光学印象が保険適用になりました

光学印象は、これまでCAD/CAMインレーの製作にしか算定できませんでした。今回の改定で対象が広がり、あわせて点数も引き上げられています。

改定前改定後
光学印象(1歯につき)100点150点
対象CAD/CAMインレーCAD/CAM冠 又は CAD/CAMインレー

算定要件は次のとおりです。

CAD/CAM冠又はCAD/CAMインレーを製作する場合であって、デジタル印象採得装置を用いて、印象採得及び咬合採得を行った場合に算定する。

注意していただきたいのは、「印象採得及び咬合採得」の両方をデジタル印象採得装置で行うことが要件になっている点です。印象だけをスキャンし、咬合採得は従来どおりワックスで、という運用では算定要件を満たしません。

これまでは「CAD/CAMインレーはスキャンデータで依頼できるが、CAD/CAM冠は石膏模型を技工所に送る必要がある」という、医院の側から見ると中途半端な運用が続いていました。ここが解消され、CAD/CAM補綴はインレーも冠もスキャンデータの送付だけで完結する形になります。

算定には施設基準の届出が必要です

「スキャナーを持っていれば算定できる」と思われがちですが、そうではありません。光学印象は施設基準の届出を前提とした項目です。

別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た保険医療機関において、(中略)デジタル印象採得装置を用いて、印象採得及び咬合採得を行った場合に算定する。

届出は、特掲診療料の施設基準に係る届出書と、光学印象の添付書類の2種類を地方厚生局に提出する形になります。使用しているデジタル印象採得装置の情報を記載する欄があるため、手元のスキャナーが特定診療報酬算定医療機器の要件を満たしているかを先に確認しておくとスムーズです。

すでにCAD/CAMインレーで光学印象を算定している医院様は届出済みのはずですので、冠への拡大にあたって新たな届出は不要と考えられます。一方、これからIOSを導入する医院様は、装置の納品と届出のタイミングを逆算しておく必要があります。届出が受理されるまでは算定できません。

大臼歯の咬合支持要件が撤廃されました

もうひとつの大きな変更が、CAD/CAM冠の算定要件の簡素化です。

改定前は、大臼歯にCAD/CAM冠用材料(Ⅲ)を使う場合に「対側に大臼歯による咬合支持があること」を前提として、同側の咬合支持の有無、対合歯の欠損状況、近心側隣在歯までの咬合支持といった条件が細かく分岐していました。

改定後は、この条件文が丸ごと削除されています。

ロ 大臼歯にCAD/CAM冠用材料(Ⅲ)又はCAD/CAM冠用材料(Ⅴ)を使用する場合

あわせて、後継永久歯が先天的に欠如している乳歯への使用が新たに算定対象に加わりました。永久歯が生えてこない乳歯は長期間使い続けることになるため、審美性と耐久性の両面で意味のある拡大でしょう。

CAD/CAMインレーについても同様の見直しが行われ、点数は750点から770点に引き上げられています。

条件分岐を読み解く手間がなくなったことで、大臼歯へのCAD/CAM冠は「材料が適合していれば使える」というシンプルな判断に変わりました。適応が広がった分だけ、その全部を光学印象で回せるようになった、という点でこの2つの改定はセットで効いてきます。

併せて動いた点数もあります

光学印象と咬合支持要件の陰に隠れていますが、実務に効く変更が3つあります。

内面処理加算の引き上げ

装着時の内面処理加算1が、CAD/CAM冠・CAD/CAMインレーともに45点から55点へ引き上げられました。歯科技工料調査の結果等を踏まえた見直しと説明されています。

クラウン・ブリッジ維持管理料の対象拡大

これまでCAD/CAM冠は維持管理の対象外とする規定がありましたが、対象範囲が見直され、すべてのCAD/CAM冠が維持管理料の対象になりました。

歯科技工士連携加算の拡充

情報通信機器を用いて歯科医師と歯科技工士が色調採得や口腔内の確認を行った場合の連携加算について、対象補綴物にブリッジが追加され、光学印象を含む一連の診療で併算定できる範囲が広がっています。

注目したいのは、この連携加算の施設基準に次の項目が加わったことです。

ロ 歯科技工士の負担の軽減及び処遇の改善に資する体制が整備されていること。
ハ (中略)連携体制に関する事項等について、保険医療機関の見やすい場所に掲示していること。

技工士の処遇改善が、加算の施設基準として明文化されたわけです。医院と技工所の関係が、価格だけでなく体制の面から評価される方向に制度が動いていることを示しています。

模型レスで依頼するときに変わること

石膏模型がなくなると、次に出てくるのは適合の問題です。模型で確認できていた隣接面や咬合の情報を、スキャンデータと指示だけで伝えることになるため、医院と技工所のやりとりの質が仕上がりに直結します。

大森技工所では、医院様ごとに担当者がつき、ご希望の仕上げ具合を事前にうかがったうえで製作しています。調整と仕上げは自費歴40年以上の職人が担当しますので、模型レスのご依頼でも精度を落とすことなくお戻しできます。スキャナーの操作や送信方法についてのご相談も、導入初期から個別に対応しています。

制度の側は、光学印象の点数を引き上げ、対象を広げ、維持管理料の対象にまで入れてきました。ここまで揃った以上、CAD/CAM補綴を模型で回し続ける理由はもう残っていないと考えるのが妥当でしょう。

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まとめ

2026年6月1日施行の改定で確定した内容を整理します。

  • 光学印象がCAD/CAM冠にも適用され、点数は100点から150点へ。算定には印象採得と咬合採得の両方をデジタルで行うことが必要
  • 算定には施設基準の届出が必要。これからIOSを導入する場合は納品と届出のタイミングを逆算する
  • 大臼歯の咬合支持要件は撤廃。CAD/CAMインレーは750点から770点へ
  • 内面処理加算は55点へ、すべてのCAD/CAM冠がクラウン・ブリッジ維持管理料の対象
  • 歯科技工士連携加算の施設基準に、技工士の負担軽減・処遇改善の体制が明記された

CAD/CAMインレー側の要件は別記事で詳しくまとめています。あわせてご確認ください。

出典: 厚生労働省保険局医療課「令和8年度診療報酬改定の概要【歯科】」令和8年3月5日版(PDF

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