(2026年最新)歯科技工所ベースアップ支援料はいつ算定できるか|疑義解釈6問
令和8年6月に新設された歯科技工所ベースアップ支援料は、1装置につき15点。令和9年6月以降は所定点数の100分の200、つまり30点で算定することが決まっています。
制度そのものの解説は各所で出ていますが、施行から2ヶ月半が経ち、現場からの照会が積み上がってきました。厚生労働省保険局医療課の疑義解釈は令和8年7月30日時点でその11まで発出されており、このうち歯科技工所ベースアップ支援料に関するものが6問あります。本記事では、その6問と歯科技工関連三団体の手引きをもとに、どういう場合に算定できて、どういう場合に算定できないのかを整理していきます。
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前提の確認:算定するのは医院、受け取るのは技工所
まず制度の形を押さえておきます。
- 算定するのは歯科医療機関です。歯科技工所が直接請求することはできません
- 医院が算定した支援料は、全額を歯科技工所への委託費として支払う仕組みです
- 院内技工では算定できません。歯科技工所への委託が前提の制度です
- 算定には厚生局への施設基準の届出が必要です
つまり、先生が届け出て算定しない限り、この制度は動きません。技工所の側から請求することも、勝手に発生させることもできない構造になっています。
なお、届出の時点で名前が挙がっていなかった技工所であっても、実際に委託が行われていて実績報告書で報告されていれば対象になります。複数のラボと取引されている場合は、そのすべてが対象です。
算定できる場合・できない場合(疑義解釈6問)
ここからが本題です。
装着できなかった患者はどう扱うか
支援料は「装着の算定日に算定する」と定められています。では装着に至らなかった場合は諦めるしかないのか、と思われがちですが、そうではありません。
問:患者が理由なく来院しなくなった場合、患者の意思により治療を中止した場合又は患者が死亡した場合であって、補綴物等の製作等がすでに行われているにもかかわらず、装着できない場合は、当該支援料は算定できるのか。
答:未来院請求時に算定して差し支えない。
(疑義解釈その4・令和8年4月21日)
技工物はすでに製作され、技工所への支払いも発生しています。そこが救済されているのは、実務上かなり大きいでしょう。
また、施設基準の届出をした時点ですでに製作が始まっていた症例についても、対象になります。装着時に算定して差し支えない、と明示されています(その9・令和8年6月26日)。
鉤の製作は「何を算定するか」で変わる
問:鉤の製作等を歯科技工所に委託する際、①鉤の製作に係る技術料及び材料料のみを算定する場合 ②鉤の製作や組込等に伴い有床義歯修理を併せて算定する場合は、支援料を算定できるのか。
答:①算定できない。②義歯修理の装着料の算定時に、当該支援料を算定して差し支えない。
(疑義解釈その9)
支援料は装着料に紐づいています。技術料と材料料だけでは算定の起点がない、という整理です。
装置をいくつと数えるか
問:①磁性アタッチメントを支台装置とする有床義歯を装着する際に、キーパー付き根面板と有床義歯に対してそれぞれ装着料を算定した場合 ②帯環を含む固定式矯正装置を装着する際に、それぞれ装着料を算定する場合の取扱いは。
答:①キーパー付き根面板と有床義歯(磁石構造体を含む)は別装置であるため、それぞれ算定できる。②帯環と固定式矯正装置は同一装置である。
(疑義解釈その5・令和8年5月8日)
歯科技工関連三団体の手引きには、代表的な補綴物の算定回数がまとめられています。
| 補綴物等 | 算定回数 |
|---|---|
| クラウン/インレー | 各1 |
| ⑥⑦(連結または単冠) | 2 |
| ③②①(連結または単冠) | 3 |
| レジン前装冠 ③2①(ブリッジ) | 1 |
| ブリッジ 7〜1 1〜7 | 1 |
| 総義歯 | 1 |
| 局部床義歯(一顎2床) | 2 |
| 鋳造二腕鉤/有床義歯修理/口腔内装置 | 各1 |
| 個人トレー・バイトリム・仮床試適 | 算定不可 |
見落とされやすいのは請求書です
支援料をどう技工所へ渡すかについて、疑義解釈はこう答えています。
問:施設基準に「当該支援料を全て歯科技工所への委託費の増額に充てること」とあるが、製作技工に要する費用の中に当該支援料を含めて、まとめて支払いを行ってよいか。
答:まとめて支払うことで差し支えない。ただし、当該支援料が含まれることが分かる請求書等を、算定に係る書類として保存すること。
(疑義解釈その4)
ここが実務上いちばん引っかかる箇所でしょう。技工料金に混ぜて支払うこと自体は認められていますが、「支援料が含まれることが分かる請求書」の保存が条件になっています。技工所から届く請求書がその条件を満たしていなければ、算定要件を満たせないことになります。
歯科技工関連三団体の手引きも、請求方法として①別建て請求 ②歯科技工料金への内包 の2つを挙げたうえで、内包は料金体系が複雑になり請求時のトラブルにつながるとして、厚生労働省保険局は「別建て請求」を推奨していると記載しています。
金額の扱いも決まっています。支援料には消費税が含まれるため、税抜136円・税込150円となるように請求します。
なお、委託費の増額に伴って発生する消費税の増額分に支援料を充てることについては、差し支えないとされています(その4)。
あわせて動いた:事前承認の模型が画像データで提出可に
同じ疑義解釈その9で、歯冠修復及び欠損補綴の事前承認について、理由書・模型・エックス線フィルムを電子媒体で提出してよいと明示されました。模型の提出方法として挙げられているのは次のとおりです。
模型については、上下顎模型の写真もしくは3次元デジタル模型から作成した画像データにて、正面観、側方面観、咬合面観及び咬合関係を確認できる資料を提出すること。
(疑義解釈その9)
一般的に閲覧可能なファイル形式で判読可能な画質であること、通則20のロについては欠損部や歯冠の幅径が分かるよう模型に定規等を含めた写真とすること、が条件です。判読困難とされた場合は、電子媒体での再提出もしくは模型・フィルムを速やかに提出することとされています。
石膏模型を厚生局へ送る必要がなくなったということです。口腔内スキャナーを導入されている医院にとっては、事務負担が一段軽くなります。
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大森技工所の対応
大森技工所は、支援料を別建てで記載した請求書を発行します。技工料金とは行を分けて表示しますので、先生の側で保存要件を意識していただく必要はありません。算定回数のカウントについても、実績報告書の作成時にご相談いただければ対応します。
この制度は、先生が届け出て算定していただかない限り、1円も技工士に届きません。 支援料の届出がまだであれば、8月の賃金改善実績報告書の時期にあわせてご検討ください。
請求書の書式や算定回数の数え方についてご不明な点があれば、お気軽にご相談ください。
\格安デジタル技工を取り入れよう/
出典
- 疑義解釈資料の送付について(その1〜その11)/厚生労働省保険局医療課
- 歯科技工所ベースアップ支援料 適正運用のための手引き/歯科技工関連三団体(公益社団法人日本歯科技工士会・全国歯科技工士教育協議会・一般社団法人日本歯科技工所協会)
- 令和8年度診療報酬改定について/厚生労働省
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